gavangavanの日記

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ロケみつサイコロの確率論


土曜日深夜の関東TBS版ロケみつ四国一周ブログ旅完全版は、足摺岬での地獄のホエールウォッチング解決編であったが、スタッフ「ヒゲメガネ」が船酔いしたために(その後早希ちゃんもダウンした)朝と昼のコメントチェックを帰港後に行うことになった。(ちなみにヒゲメガネ自身は毎回サイコロを早希ちゃんに渡すときに6の目を上にして渡してくれるなど良い人であるらしい。鬼畜なのはエラソーにイヤミを言っているディレクターのほうである)

ここで、初の2回分連続のサイコロタイムとなったわけだが、
1)2回分のコメントをまとめて1回のサイコロで勝負するか
2)それとも通常通り2回のサイコロにわけて別々に勝負するか
早希ちゃんにその選択が委ねられた。早希ちゃんの判断は、


早「1回目に1が出るような気がするので、まだ2回目もあんで?とサイコロの神様を騙して(?)1を回避しようと思います♪」

というワケの分からない理屈によりw、2回に分けてサイコロを振ることにした。この場合、確率論的に考えて、はたしてどうするのが最適戦略だったのか、改めて考えてみよう、というのがこのエントリーの目的である。

【関西縦断のときのルール】

出目 倍率
1  x 0.1
2  x 1
3  x 1
4  x 1
5  x 1
6  x 10

この場合の平均倍率は
(0.1+1+1+1+1+10)/6 = 15.1/6 = 2.52
分散は4.52。

朝コメ数z1, 昼コメ数z2のとき

1)1度にサイコロを振る場合

取得資金y(円)の期待値 E[y] = 2.52*(z1+z2)

2)2度にわけてサイコロを振る場合

E[y1] = 2.52*z1
E[y2] = 2.52*z2
ゆえに
E[y] = E[y1+y2] = E[y1]+E[y2] = 2.52*(z1+z2)

これは1度で振る場合の期待値と同じである。

では分散はどうなるか。

1)1度にサイコロを振る場合

V[y] = 4.52*(z1+z2)^2 である。

2)2度にわけてサイコロを振る場合

2回の試行は独立試行なので、確率変数の和の分散は分散の和であるから
V[y'] = V[y1]+V[y2] = 4.52*z1^2+4.52*z2^2 = 4.52*(z1^2+z2^2) である。

両者の差は
V[y]-V[y'] = 4.52*(2*z1z2) = 9.04*z1z2 > 0
より、2回に分けた方が分散が小さい。すなわち、大勝ち(6が出る)することも少ないかわりに、大負け(1が出る)の危険も少なくなる。平均的には2.52倍の倍率で資金がもらえる、つまりコメ数が3000件程度なら7500円(宿1泊分に十分相当する)は固いのだから、大負けのリスクを犯してまで大勝ちの可能性に賭ける必然性は全くない

よって2回に分けてふった方がよいと判断できる。

関西縦断の時のルールはこのようにわかりやすい。

【四国一周のときのルール】

出目 倍率
1  所持金全取り
2  x 0.1
3  x 1
4  x 1
5  x 1
6  x 10

ブログ旅第弐章の四国一周では、1が出るとそのときのコメ数分だけでなく、その時点での所持金全部が没収されるというルール変更が行われたのが肝である(つくづく最っ低なルール変更である)。

所持金x円のときにコメ数zで、次のサイコロを振ったあとの所持金x'の期待値
E[x'] = 0/6 + 5x/6 + 0.1z/6 + 3z/6 + 10z/6 = 5x/6 + 13.1z/6 = 0.83x + 2.18z

次に、所持金x円で、朝コメ数z1、昼コメ数z2のとき、

1)1度にサイコロを振る場合

E[x'] = 0.83x + 2.18*(z1+z2)

2)2度にわけてサイコロを振る場合

1回目のサイコロについて
E[x'] = 0.83x + 2.18*z1
2回目のサイコロについて
E[x''] = 0.83*E[x'] + 2.18*z2 = 0.83*(0.83*x + 2.18*z1) + 2.18*z2 = 0.69*x + 1.81*z1 + 2.18*z2

つまり現時点の所持金xは、期待値的にはサイコロ1回につき5/6(=0.83倍)に目減りしていく(10000円もっているなら、次のサイコロで1700円はだまっていても消えていくことになる。消えるくらいならその1700円分は、タクシーだろうがおみやげだろうが使っちまったほうが得だといえよう)。このため、期待値としては1度にふったほうが常に得だという結論になる。

しかし本当にそうなのか。

関西縦断ルールと同様に分散の計算をしてみてもよいが、やや煩雑なため別の観点から戦略評価してみる。

最悪を避ける

たとえば「最悪のケースを避ける」という戦略がありうる。フェールセーフというやつである。この場合、最終的に所持金0円の状態が最悪である。
そうなるケースは、最後にふったサイコロが1の場合である。この確率は1回で振った場合は1/6。2回にわけた場合、1回目の出目は関係なく2回目に1がでれば全取りだから、その確率は常に1/6。したがって1回と2回、どちらの戦略を選択しても最悪のケースを避けるという観点からは等価といえる。

2も避けたい

次に避けるべき準最悪は2が出る場合である。1回でまとめてふった場合、そこで2が出るのは1/6の確率。ただしこの場合は手持ちの資金を失うことはない。

2回に分けると、1回目に1が出て、2回目に2が出てしまうのが準最悪で、その確率は1/6*1/6=1/36で、この場合は最初の手持ち資金を一度失うことになる。手持ち資金が多いときには容認し難いかもしれない。しかし手持ち資金がほぼ0であるなら(足摺でのケースはこれに相当する)いずれにしても失うものはない。

さらに、1回目に2が出て、2回目も2の場合は1/6*1/6=1/36で、1回でまとめた場合と同じ額の資金が手に入る。

上記以外のケースでは、1回でふった場合には1倍以上で資金が手に入るし、2回に分けた場合にはどちらかで1倍以上の資金が手に入ることになる。その確率は
1回でふった場合:1 - 1/6 - 1/6 = 4/6 = 2/3 (=12/18)
2回でふった場合:1 - 1/6 - 1/36 - 1/36 = 14/18

したがって最悪なケースを可能な限り避けるという意味では2回に分けた方が1.17倍ほど有利といえる。
(追記:最初の更新では2回でふった場合から最悪ケースの1/6をひくのを忘れていたので修正しました)

2回に分けた方が、もらえる資金額の期待値が低くなるのは、1回目に6が出ても2回目に1が出ればそこで全額没収されてしまうため、その分高額所得のケースが相殺されてしまうからだ。これはサイコロを振るごとに所持金が期待値的には目減りする、ということと符合する。

しかし、高額の資金を得て酒池肉林を展開することよりも、今夜の宿を何とかすることが使命の早希ちゃんとしては、6が出て歓喜の舞を踊るチャンスなどかなぐり捨ててでも、宿探しで街中をさまようリスクをできうる限り回避することがより合理的といえよう。

実際に早希ちゃんの選んだ戦略は正しかったといえる。

追記:

【西日本横断の暴走モードルール】

出目 倍率
1  所持金全取り
2  x 0.1
3  x 0.1
4  x 1
5  x 1
6  x 10

なので、所持金x円のときにコメ数zで次のサイコロを振ったのちの所持金x'の期待値 E[x'] = 0/6 + 5x/6 + 2*0.1z/6 + 2z/6 + 10z/6 = 5x/6 + 12.2z/6 = 0.83x + 2.03z となり、サイコロ一回あたりの現所持金の目減り額は暴走前と変わらないが、コメ数に相当する期待値分は2.18->2.03と0.15倍ほど(コメが5000件なら750円ほど)減ったことになるが、それでも2倍以上あるので10000円ほどの資金収入が期待できることには変わりが無い。いずれにしても6が何回出るかが勝負の分かれ目であるといえよう。覚醒モードでこれがどうなるかはさだかではないが。