gavangavanの日記

書きたいことを書いております。

さよなら、スティーブ。

Apple - 追悼 Steve Jobs

みなさんもすでに今朝の衝撃的なニュースに接しておられると思いますが、アップルの総帥(前CEO)Steve Jobsが亡くなりました。56歳でした。以前よりすい臓ガンを患っていて、数年前には急激なその痩せ方に皆驚いたこともついこのあいだのような気がします。それから休養などもありましたがここまでよく頑張ったなあという印象を持っています。

私の岳父もすい臓でした。その進行は非常に早く、かつ治療も大変難しいのがすい臓の病気です。あれは取ってしまうわけにはいかず(他の器官や薬で代替できない)、そのままにするのも問題があり(ガンが増殖、転移する)、往くも地獄、引くも地獄。そんななかジョブスの一時的な回復(なんといってもカンファレンスの新製品紹介スピーチに戻ってきた!)は驚異的なものでした。

そういう姿を目にするにつけ、なんとなくジョブスは死なないのではないか、今日まで永らえているのだから明日も大丈夫だと。どんなニュースが聞こえてきたとしても、たとえそれがCEOからの退任(今年の8月)であれ、それが「決定的な日」に繋がるとは正直考えてはいなかったのです。

それは(我々にすれば)突然やって来ました。用意周到な彼のことですからこれも十分想定された末にしくまれたことだったのだろうとも思える分、他の人の突然の訃報よりは精神的に楽な気分でいられるのも、また彼ならではなのかもしれません。

わたしは彼の訃報を手持ちのiPhone4で知りました。TLにたくさんのツイートが流れてきました。自らの訃報を自ら世に送り出したデバイスやインフラで知らせることのできた人は、きっと世に数名もいないのではないでしょうか。オバマ大統領も同じ感想を持ったようです。

President Obama on the Passing of Steve Jobs: "He changed the way each of us sees the world.
Posted by Kori Schulman on October 05, 2011 at 09:15 PM EDT

Following the loss of visionary Apple co-founder Steve Jobs, President Obama released this statement:



Michelle and I are saddened to learn of the passing of Steve Jobs. Steve was among the greatest of American innovators - brave enough to think differently, bold enough to believe he could change the world, and talented enough to do it.

By building one of the planet’s most successful companies from his garage, he exemplified the spirit of American ingenuity. By making computers personal and putting the internet in our pockets, he made the information revolution not only accessible, but intuitive and fun. And by turning his talents to storytelling, he has brought joy to millions of children and grownups alike. Steve was fond of saying that he lived every day like it was his last. Because he did, he transformed our lives, redefined entire industries, and achieved one of the rarest feats in human history: he changed the way each of us sees the world.

The world has lost a visionary. And there may be no greater tribute to Steve’s success than the fact that much of the world learned of his passing on a device he invented. Michelle and I send our thoughts and prayers to Steve’s wife Laurene, his family, and all those who loved him.

President Obama on the Passing of Steve Jobs: "He changed the way each of us sees the world." | The White House

(私訳)
私とミッシェル(夫人)はスティーブ・ジョブス氏逝去の報に接して悲しみのうちにいます。スティーブはアメリカの偉大な改革者の一人でした - (世の中とは)違うやり方でものを考えることのできるほど勇敢であり、世界を変えられると信じられるほど力強く、そしてそれを実行できるだけの才能をもった人でした。

この星でもっとも成功した企業の一つをガレージから立ち上げたことによって、彼はアメリカの創造的精神を体現した人物となりました。パソコンを作り出し、インターネットをポケットの中に放り込み、だれでも使えるというだけでなく、直観的で楽しさのある情報革命をもたらしました。そして彼はかの才能を話術にも発揮して、何百万もの子供たちと、そしてまるで子どものような大人たち、を喜ばせてくれました。スティーブはこう言うのが好きでした:今日が最期の日だと思って毎日を生きる、と。彼がそうやったおかげで、我々の生活は転換し、産業全体は再定義され、彼は人類史上もっともまれな成果の一つを成し遂げました:彼は、我々一人一人が世界を見る見方を変えたのです。

世界は一人の先見者を失いました。世界中の多くの人々がスティーブの訃報を彼自身が発明したデバイスで知ることになったという事実。彼の成功に対するこれ以上の賛辞はないかもしれません。私とミッシェルは、スティーブの夫人ローリンと、彼の家族、そして彼を愛したすべての人々に対して、私たちの思いと祈りを送ります。


あと20年。彼のカレンダーに時間があったら、世界はどれだけのイノベーションを目にできたのだろう、と考えると失われた物の大きさに慄然とせずにはいられません。私たちは過去を失ったのではなく、ありうべき未来を失ったのかもしれないからです。iPhoneiPadが古臭く感じられるような衝撃的なデバイス、いやサービス?インフラ?もうそういう切り口が陳腐なくらいに別の切り口で新しい世界の見方を教えてくれたかもしれないと思うと、同じ情報技術開発の末端にいる自分としては自分になにができるだろう?と考えずにはいられないのです。

私は常々、今のPCはクソだっ!といっていますが(それはMacも含みます)、同様にiPhoneはクソだし、iPadもクソだと思ってます。あの口と性格の悪い!ジョブスならきっと賛同してくれる気がしています。人間がデバイスやインフラに使われてしまう振り回され感をどうにかしないといけないといつも思っています。そういう、今の状況はクソだよね、と思える感覚は私にとってジョブスの置き土産になっているのです。ああ、あの毒舌はもう聞けないのですね。

I miss you, Steve. これからも空の上から我々を罵倒しつづけてほしい。

追記:
追悼の意味も込めて、アップルストアにて昨日発売されたばかりのiPod nanoの新型(red)に"Thank you, Steve."と日付を刻印して発注した。nanoは時計にもなるし1つもっていてもいいかなとつねづね思っていたので。

ただ、今後ジョブス追悼モデルが発売される可能性も多いにあるので、その時はその時だ←。

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