gavangavanの日記

書きたいことを書いております。

つぼみ演劇祭Vol.2いってきたよ。


ということで、1週間たってしまいましたが(しかしレビューを書くのはほとほとしんどい作業なので、仕事が立て込んでいるときは無理ですなマジで(汗))、つぼみ演劇祭Vol.2の感想をアップしようと思います。

今回は昼公演、夜公演の2回連続公演で、各公演おわりに10分程度のアフタートークがありました。待ちに待った演劇がっつりイベということで意気込んでいって参りました。結論からいえば総合的にいってよい出来だったのではないかと思います。

昼夜ともに演目は2つ。

  1. 【空想◯◯ゲーム】 出演:まりこりん、まなてぃ、タッキー、くぅ、しより、あやつる、サリー、碧子、うーかな
  2. 【RE:START】 出演:きーちゃん、まーぼう、やっすう、ちーちゃん、優華、たみ、さきぴょん、まいか、じぇじゅん♀、てこ、ぐっさん(映像出演)

演目2つの間には10分程度の幕間休憩があり、各演目終演直後には出演者総出での舞台挨拶がありました。また2つ目の演目が終わったあとにはやはり5分ほどの休憩ののちアフタートークがありました。昼・夜とも演目間でシャッフルされており、ともにMCはやっすうでした。

では以下からレビューをどうぞ。

空想○○ゲーム

あらすじ

サリー、うかな、くぅ、しより、あやつる、碧子の6人は中途半端な犯罪で監獄に収監された囚人たち。恩赦が出たとかで、自分たちの監房をでて監獄内をある程度自由に移動することができる立場にある。しかし遊び道具がなにもないので、空想でオセロをしてみたり、サッカー、ゴルフ、ピンポンにあげくは組体操と、いろいろやってはみるものの、空想だけにみなが100%パーフェクトな結果ばかり空想するのでゲームにならず。そこに新しく収監されてきた囚人タッキーがやってきた。貞子のようなのでさだちゃんとよばれるすこし根暗な不思議キャラのタッキーだが、7人で出身地チームごとにわかれて大喜利をして遊ぶことに。数合わせに看守であるまなてぃまで巻き込んで大喜利大会をはじめるのだが、あまりの騒ぎに監獄の所長まりこりんに見咎められてしまう。冷酷無比のまりこりんに遊びを禁止されてしまう7人だが、まりこりんのやって来た目的は、タッキーに面会者が来ているとつげるためであった。

面会者はタッキーの母親であった。タッキーの妹の病気が悪化し、明日をもしれぬ状態で市民病院に入院したという。出血のため輸血が必要だが、非常に特殊な血液型のため、姉であるタッキーの血液でなければ輸血することができないのだ。しかしタッキーは監獄の中、外にはもちろんでられない。一時出獄の申請をしても、通常の手続きなら1週間、緊急事態という事情を考慮して特別措置をしたとしても4日はかかってしまう。それを到底受け入れられないくぅたちは、タッキーの脱獄を支援することを決意する。

碧子は持ち前の記憶力で、まなてぃが開ける監房棟の出口のナンバーロックを番号を覚えていたのだ。最後の数をのぞいて。やがて脱獄の相談中の会話をまなてぃに聞かれてしまう囚人たち。いてもたってもいられないくぅは土下座をしてまなてぃに知らぬふりをしてほしい、そして最後の鍵の番号を教えて欲しいと懇願する。くぅにならう他の囚人たち。まなてぃは私は刑務官である、脱獄を容認することなどできない。しかしこれもお前たちの空想ゲームなのだろうから私が聞いたのも空想だ、と機転を聞かせて見逃そうとする。最後の番号のヒント、くぅの誕生日3/3=33を教えた上で。

一刻も待てないタッキーのために、脱獄はその日の消灯時刻直後に決行される。無事ナンバーロックを開け、タッキーを壁の向こうに送り出そうとする全員。しかしそこで照明が点灯し、まなてぃが現れ、そこまでだと告げる。まなてぃが裏切ったのかと詰め寄る囚人たち。そこに現れる所長まりこりん。脱獄などはありえない、そもそもここに収監されている原因をつくったのは自分たちであり、それゆえに妹を助けられないタッキーも自分の責任ゆえだ。房へもどれと告げるまりこりん。それに反駁するくぅ。法は法だろう。しかしその前に自分は人でありたい。タッキーさえ病院にたどり着けば助かる命ではないか。命をも上回る法とはいかなる法なのかと。これに首肯するどころか激怒するまりこりん。

ま「おまえたちの正義はタッキーを脱獄させることにあるのだろう。視野の狭いことだ。それで影響をうけるすべてのものを考慮にいれたのか? タッキーの一時出獄のために、まなてぃは自分の辞表をもって自分のところに懇願にきた。自分の将来を捨てておまえたちのために行動した。これがどういうことを意味するのかわかっているのか?お前たちの身近な人間に代償を強いていないといえるのか?そんなことも気づけずに正義を振りかざすのはなんなのだ」

返す言葉なく屈服するくぅおよび囚人たち。諦めて房へ帰ろうとするその時。突然体の不調を訴えてうずくまるまりこりん。まなてぃに市民病院へ車で運ぶように指示する。口調はとても体調が悪いようには聞こえない。そう、これは演技なのだ。ひとりでは無理だから肩を貸せと指示するまなてぃ。タッキーはじめ囚人たちの顔が喜びに変わる。まりこりんは誰にとはなく語る。どんな法でも法は法だ。しかしそれが人一人の命をも上回るものなのかどうか、それは今の私にはわからないと。その後、タッキーの妹は無事命を取り留めた。歓喜の声をあげる囚人たち。

感想


だれが主役なのかいまいちはっきりしない群像劇でした。あえていうならくぅが主役でしょうか。まなてぃがカウンターパートにあたり対峙していました。まりこりんがキーストーンの位置にいましたが、これは典型的な機械じかけの神ですね。シナリオの前半部分=監房内でのコミカルなやりとり(大喜利込み)、と、後半のタッキー脱走事件の間がストーリー的に断ち切られている(タイトルが根幹のストーリーに関係ない)ので、なおのこと、なぜあれで決着がつくのか納得しづらい内容になっていました。あれで話がすむなら最初からそれでよかったわけです。くぅの熱意がまりこりんを動かした、という向きもありますが、それにしては決定打がありません。彼女は前にむかって遮二無二つっぱしっただけです。それこそがまりこりんの否定する視野の狭隘さであり身勝手な正義感であろうと思うのですが、それ以上の反駁をくぅは提示できていません。なにがまりこりんの心をうごかしたんでしょうね?説明はありえるのですが、納得できるかどうかが問題です。

他にも、とくにあやつるとタッキーはもともと一人の役を2つに割いたのではないかと思われる節すらあります。タッキーが途中からやってくる新人である、というプロットはとくに本筋に影響しませんし、タッキー登場後はあやつるの出番がありません。奈良VS和歌山の対立の間に位置する半端者、という立ち位置が共通なこの二人のキャラはもともと同一だったと考えるとそれなりに筋がとおります。

前半部分は別の芝居によくにたプロットが存在しているという説もあり。ある芝居のシナリオが、他の芝居の影響を受けているということ自体は避けがたい部分もあるので、なにもそれをどうこういうつもりはないのですが、一本のシナリオとしてみたときの完成度という意味では、疑問がのこる本でした。

あとは、個別の演技等々に関する話になるのですが、気づいたところでは、囚人それぞれの役名は奈良と和歌山の地名になっているみたいでしたね。それぞれの県の刑務所の出身という説明でした。OPでなぜタッキーは囚人08号とクレジットされたんでしょうね?そもそも囚人としては7人目であるので、08というのはなにかひっかかりがありました。私は途中まで8人目の囚人が出てくるとおもっていました。

同じOPでは、まなてぃのラストカットのガッツポーズ笑顔にやられましたw。その前のカットが踊る大捜査線のフィーチャーなので真面目な顔だったわけですが、最後が来たw。あれは是非ブログにでも掲載してほしい写メですね。

碧子技能賞

他の出演者では碧子安定の演技でした。アフタートークでは、最初声が小さいといわれて苦労した、と語っていましたが、どうしてどうして、堂々たるものだったのではないでしょうか。数字に強く記憶力に自信のあるというキャラを、ふだんの振る舞いからきっちり演じられていたと思います。小道具のメモの切れ端がちぎれてしまって、というのもいってましたけど、気づきませんでしたねえ、2回目はまじまじとチェックしてみましたけど自然にできてましたよ。前半の舞台上を完全にリードしていたのは碧子だとおもいます。探偵役とかやったらハマるかもしれませんね。開花宣言ので初登場以来、私の中での彼女の印象というのはわりとかわいい系のアイドル派というものだったのですが、これでかなり修正を余儀なくされました。

そしてなんといってもラストでのあやつるの声吹き替え!記憶力ダメダメのエアーオセロ審判役あやつるの形勢判定セリフ、1回目は碧子のささやきを聞いてあやつる自身がやってましたが、2回目は碧子自身が声を吹き替えての表現!。直前の舞台袖で碧子自身の提案でやったそうですが、(≧∇≦)ъ ナイスアドリブです。こういう自分から仕掛けていく様子を見るのは、たとえそれが裏目にでたとしても気分のいいものです。今回のようにアタリに出たときはなお爽快な気分ですね。今回の技能賞だとおもいます。

うーかな、なんかめっちゃ怖いメイクだった気がするんですがw、登場人物の中で一番ホンモノぽかった気が←。エアーゲームのなかでゴルフをやるぞ、といいだしてスイングしてましたけど、アフタートークもいってましたがかなりノリノリでやっていた模様で。ここで最前列にいた私は思わず口走ってしまったのが


ギャ「ゲートボールみたいやなw」
かな「だれ?なに、いまゲートボールっていった?!ゴルフや!」

そこ拾わないでくださいよwww。めっちゃ睨まれたがなww。でもあれはゲートボールだったと思います( ー`дー´)キリッ。

まりこりんは、硬派の刑務所長だったわけですが、ツンデレのツンモードをさらに強力にしたモードでした(最後やっぱりデレだった)。声が怖いw。幸いだったのはマジスペのときのようなすぐに手が出るタイプの役ではなかったことで、あのときのたみのように被害者は出ずにすみましたマジスペ感想その他っ。 - gavangavanの日記。逆に言えば、セリフ回しでキャラを表現しなくてはならなかったので、少ない出番で印象づけるには演技プランが難しかっただろうと想像します。しかしやはり存在感はピカイチですね。1回目最初登場したときに、片足のズボンの裾が捲れていたのですが、あれはもしかしてわざとそうしてたのか?とか思ったのですが、次に出てきた時に直ってましたからやっぱり間違いだったのねw。制服姿はまなてぃのほうが堂にいっていたかもしれません。

アフタートークによれば、本来はタッキーとまなていは配役が逆であったとのこと。まなてぃの役が25歳という設定だったのはそのあたりの名残なんでしょうが、当初の予定通り逆になっていたらまた印象が変わったでしょうね。タッキーの貞子キャラはまなてぃには無理ですから、はたしてどう演じたのか。タッキーの刑務官も案外カッコ良かったのではないかと思うと、2回目は入れ替えてみてもよかったか、とも思いました。2回目のとき、囚人たちのボケとまなてぃのツッコミが観客側には読めていたので、やりにくそうでしたね。タイミングも少しずれてしまっていました。2セット用意したほうがよかったのかもしれません(その意味で碧子の果敢な攻めが光るのです)。

タッキーの貞子キャラはいつものタッキーといえばそうなのですが、せっかくの演劇祭ですから違う面がみたかったという気分もあります。私の中のタッキー像というのはもっとかっこいいのです(いまがかっこ悪いという意味でなく)。ひねったトリッキーな役じゃなくてストレートに演じられる直球な役を演じるタッキーを次回は見たいと思います。

サリー。今回はメガネキャラが後半の演目で総出ででますから、あえて今回はメガネなしだったそうですね。エアーオセロをやりこんでましたが、本編に絡む動きがなかったのが残念。大喜利の司会はくぅじゃなくサリーのほうがよかったかもしれません。後から言われて思い出しましたがカズダンスはもうやめましょう←。

あとはしよりですが、このキャラはくぅにベッタリのキャラ設定で、くぅとの関係性でのみ存在意義がありますから、そこを描ききれなかったのがおしいといえます。しよりは演技力がありますから(とくにタッキーを脱走させるべきだと主張するあたり)、話をドライブする役を当てたらどうだったのか、次への期待が残りました。

RE:START

あらすじ

横断歩道で車にはねられてしまうマキコ=きーちゃん。気がつくとでかい天使たみとクチと態度の悪い悪魔二人やっすうとてこが。ここはどこなのかと問うと、これは裁判であるとの宣告。私死んじゃったの?!と驚き聞き返すと、それは違うらしい。きーちゃんにかけられた罪状は不幸すぎること。なぜ不幸なのか、それを明らかにして不幸から脱出させることがこの裁判の目的らしい。いやいや、私は不幸なんかじゃない、コンビニの店員で、カレーが好きででも人参は嫌い。最近ダイエットをはじめたので甘いものは控えている。就職は就活が途中でいやになってとっくにあきらめた。でも不幸なんかじゃないと反駁するきーちゃん。まいか裁判長曰く、きーちゃんが不幸を脱するためには、自分が気づかないうちに抑えこんできた意志と向きあう必要があるのだ。裁判に備えて、きーちゃんは自分の中に隠れている意志と対話するための部屋に監禁される。

部屋に入ったきーちゃんの前には自分そっくりの5人が現れ、いずれも私はあなた自身だ、ときーちゃんに告げる。彼女らはきーちゃんの潜在意識なのだ。この部屋の中では5つの人格はきーちゃんの体から遊離して実体化して存在するのだ。5つの人格は次の通り。


マキコ1号:まーぼう。バイト先の店長が好きで告白したい、きっとうまくいく!。
2号:ちーちゃん。恋なんて冗談じゃない、就職して堅実な、安定した生活を築きたい。
3号:優華。アイドルになりたい!子供の頃からの夢を実現するんだ。
4号:さきぴょん。甘いもの大好き。おいしいものをたくさん食べたい。
5号:じぇじゅん♀。死にたい!!

この相互に相入れそうにない5つの人格はいずれも自分の思い通りにするんだとばかりに自己主張する。ついにはまいか裁判長の机から部屋を脱出して下界に戻るための鍵まで手に入れ、扉をあけてしまう。開放されてしまった5つの人格はオリジナルであるきーちゃんの戸惑いをよそに、それぞれが自分の願いを叶えるべく勝手に独断行動をはじめてしまう。

1号から4号までは止めるまもなくそれぞれの道を突っ走る。かわいい服を新調して、店長に告白するまーぼう。リクルートスーツに身を包み、就活の面接で将来について語るちーちゃん。タレント事務所に掛けあったり、アイドルオーディションに応募して歌い踊る優華。さっそくスイーツの店にはいってお目当てのケーキを堪能するさきぴょん。それぞれに希望にみちみちて思いを遂げるべく突き進む4人。

そしてきーちゃんのとなりには、残る一人、じぇじゅん♀が。彼女もその物騒な思い=死を遂げるために行こうとする。


♀「それではわたしも」。
き「どこへいくの?」
♀「高いビルを探しに」
き「!!!!だめだめだめ!」
♀「では、人気のない山奥に」
き「それもだめっ!!」

スキあらば死のう死のうとするじぇじゅんに、きーちゃんは気が気でなく引き止めに必死。

き「どうしてそんなに死にたいの?」
♀「絶望しているからです」

5人目の人格じぇじゅんは、なにかに絶望しているのだ。きーちゃん自身も気づかない深い心の闇を体現した人格。きーちゃんとじぇじゅんの心の対話がつづく。絶望を象徴する人格にも関わらず、自分が目を逸らしてきた決定的な何かをひとつひとつ解きほぐしていくようなじぇじゅん=5人目の自分との対話に、いつしか引きこまれていくきーちゃん。そんな二人の目の前に残りの4人が打ちひしがれて戻ってきた。

店長には彼女がいた、それも同じコンビニの新人バイトの子。私一人がうかれてバカみたいだと嘆くまーぼう。たくさん面接を受けたけれど、結局どこにも採用してもらえなかった。自分に何ができるのか見えなくなったと泣くちーちゃん。オーディションはどれにも受からなかった。参加していた他の子たちはみなびっくりするほど輝いていたと自信をなくす優華。調子にのってなんでも頼んで食べていたらついに気分が悪くなって全部吐き出してしまった。何やってるんだろ私、とさきぴょん。

4人とも思っても見なかった挫折に立ち上がれず、絶望を口にする。そういえば昔からそうだった、いつも調子にのってやってみるがうまくいかずに傷ついて、それでいつしかなにかに立ち向かうことから逃げるようになった、いつのまにかそのことすら意識の深いところに沈んで気づかなかっただけなのだと。じぇじゅんの気持ちがよくわかった気がすると。しかしそのじぇじゅんは自らの手をみて驚きの声を上げる。

♀「私、もう消えてしまいそうです」

そこに閻魔大王=ぐっさんの指示によりきーちゃんを連れ戻しに下界にやってきたまいか裁判長、たみ、やっすう、てこの4人が現れる。ずいぶんと無茶をしたものだと。おかげで5人目をみてみなさい、すでにほとんど消えかかっていると。じぇじゅんの人格は、結果を恐れてなにもしない自分、なにかから逃げつづける自分に対する内向きの絶望だったのだ。4人の人格が、暴走気味とはいえそれぞれの思いをとげるべく積極的に動き始めた時点で、すでにじぇじゅんが存在しつづける根拠を失っていたのだ。自分が消えることがきーちゃんのためには必要なのだ、どうせ死ぬつもりだったのだから、これでよかったのだと、静かに消滅していくじぇじゅん。きーちゃんは残った4人の人格とともに、裁判の場へともどる。

自分の願いを叶えるために思いのままに走った4人の人格と、消えてしまった1人の人格への思いとともに、自分がこれまで何から逃げ続けてきたのか、「不幸」の正体はなんだったのか、それに気づいていくきーちゃん。一歩踏み出して前に進んでみることの決意を裁判の場で語るきーちゃんとそれを後押しするように寄り添う4人の分身たちに、まいか裁判長は「無罪」の判決を下す。喜びにわくマキコたち。ふと背後をみると、そこには消えたはずの絶望=じぇじゅんが!。

♀「消えようとおもったんですけど、なんだかさみしくなっちゃって」

あらためて6人で一緒に歩き始めるマキコたち。「せーの、はじめのいーっぽ♪」

感想


1本目とうってかわって、こちらは一人の女の子の内省の物語でしたが、全体として若さの光る明るい話になっていて、非常に盛り上がりましたし好評価だったんじゃないかとおもいます。実際この芝居には私ものめり込んでみましたし(それには別の大きな要因もありますが←)、2回目もしっかり見ようとおもうだけの出来だったと思っています。

目立った演出としては、照明を落としたところでの蛍光塗料の使用がありました。演目タイトルの提示は白い四角い箱の1面にRE:STARTの文字が1つずつ入ったものを暗転中に演者が抱えて整列することで暗闇にタイトルが浮かび上がる、というもので、その箱はそのまま舞台上に置かれて椅子や台として使われていました。ほかにも雨のシーンでは透明な傘に蛍光塗料でモチーフが描かれていたものが多数登場しました。

アヴァンタイトル後のOPも凝っていましたね。1本目はセリフ劇でしたが、こちらはダンスもあり歌もあり、OP映像の出演紹介クレジットをバックに舞台上に一人ずつ演者本人がでてきて踊りやパフォーマンスをみせていくという、奥行き感のある演出でいやがうえにも期待が盛り上がりました。EDも歌とダンスで閉じるという、マキヨ&こまごめピペットの組であることを最大限に生かした構成でした。いやあよかったよかった!

主役はきーちゃんでしたね。最初暗転からスタートするわけですが、暗転中に舞台上に演者が出てきて配置についたところで、舞台上に倒れているのがもうこれはきーちゃんだな、とすぐにわかりました。配役表はすでに配られていたのでだれが主役かは事前にわかっていたわけですが、僕はえーかげんにしか読んでなかったので、さてだれが主役かなあと思って見ていたのです。で、倒れているシルエットがきーちゃんだとわかった時点でははーんと思いました。ストーリーが明らかになる前の時点で、これはきーちゃんをいじる形で進行する芝居だな、と予想したのです。それは結果としてアタリでした。


そして、舞台上照明がついて、たみ出落ちwwwww。天使ですよ天使ww。本人はガチですw。しかしでかいww。天使ってのはそんなにでかいのかw。それにしても出オチが効くキャラというのはつぼみでも他にいませんので(他にはりなんなんくらいであった)、ほんとに彼女の存在は貴重です。1本目の芝居がいまいち消化不良で終わったこともあり、次の芝居はどんなもんだろう?と固唾を飲んでいるところにドカンですw。一気に客席を鷲掴みにして芝居に引きこんでくれました。まさにたみ敢闘賞といえるでしょう。

さて、天使一人に悪魔が二人で登場です(やっすうとてこ)。二人でやっとたみ一人に対抗できるというこのバランスが絶妙というか、そこはかとなく笑ってしまいますw。しかしこの悪魔もキャスティングが素晴らしい。ガラの悪いおっさん口調のやっすうに、いかにも意地悪で性格悪そうなwてこのハマりっぷりときたらないという感じです。てこの性悪さについては計算なのか地なのかよくわからないところがありますが、いずれにしてもうまくハマっていたと思います。それだけ演技が自然だったということですね。決めポーズで見せる扇子に書いてある「悪」と「魔」の文字もなかなかきまっていましたw。

きーちゃんとその真空性について

この芝居はことほど左様にキャスティングの妙が光っていたとおもいます。役柄が半分リアルのそれぞれとかぶるような性格設定なのです。唯一逆じゃね?とおもったのは優華とちーちゃんですが、それ以外はそのままホンモノといってもよかったかもしれません。まーぼうはどうなのよ?という声もあるようですが、私の視点ではまーぼうはああいうキャラだとおもいます( ー`дー´)キリッ。なんでも器用にこなす人ですがのめり込むととことん行くマニアックなところもあり、きっと恋愛についてはああいう行動するタイプじゃないかと思っていますんで、それだけに今回の芝居みたときは「配役決めた人よくわかってんじゃん!!」というのが最初の感想でした。ただしあの腰前につけてたでっかいリボンはアレですが←。

シナリオでは、きーちゃんの中に抑えこまれていた本来の欲求が別の5つの人格の形をとって飛び出してしまう、という話でしたが、この5人がラストでしっかりきーちゃんのもとに共存の形で戻ってくることできーちゃんの成長を描写していました。5つの相容れない人格が戻ってこれるのは、依代としてのきーちゃんが真空だからです。この真空という入れもの的キャラというのは、またしてもリアルのきーちゃんそのものとダダかぶりするじゃないか、と思いいたって衝撃だったのです。リアルのきーちゃんのキャラは、たみやじぇじゅんのような確立されたものではないですよね。可愛いアイドルキャラだったり、スベリキャラだったり、ウクレレだったり、ナルシスだったり、ホラ吹きだったり。どれが突出してリードするわけでなく、でもそのどれもが間違いなくきーちゃんです。そんな全てのキャラを受け入れる依代としての真空性こそが、現在のきーちゃんの一番の魅力であろうと思うわけです。まさにつぼみ随一のアイドル性の持ち主である最大の理由じゃないかとおもいます(ゆえにまりこりんは断じてアイドルではない)。ファンがいろいろと余白に書き込んでいける余地がある。偶然なのか意図した結果なのか、このシナリオ・配役は熱心なつぼみウォッチャーにしてみればまさしくリアルとオーバーラップする実話であろうと思います。このことが、この芝居が妙なリアリティを醸し出していたところのゆえんだろうと分析します。



<追記> まりこりんがアイドルではない、という主張の意味は完成度とか魅力の強さという意味あいではなく、ここでの論点はアイドル性とはなんなのかの一点につきます。アイドル性とは、ファンの側がもつ勝手な思い込みや願望を投影して、それをどれだけうまく反射して輝いてくれるか、という白色性・鏡面性なのだと思います。見る人ごとに違う姿で見える。好きなものを見る側が書き込んでいける。そういう余白のありかがアイドルのアイドルたる所以であり、演者側の作り込みがありとあらゆる部分に及んでいけば行くほど、完成度は高くなってももはやそれはアイドルではないといえ、むしろ「スター」と呼ぶべき範疇に入ってきます。その点からいえば、まりこりんときーちゃんは見事に点対称な位置に立っていると言えます。一人は確固たる意志の上に、もう一人は天然であるがゆえに。

じぇじゅん♀殊勲賞

そしてそして。陰の主役、じぇじゅん♀。今回の演劇祭の最高殊勲賞にあげたいと思います。彼女の演じたマキコ5号はこの芝居のキーパーソンでした。彼女の支配する舞台で芝居が転がっていきます。そして本人は単純に自分の欲求(死にたい!という物騒キャラw)に素直に行動しようとしているだけなのですが、混乱したきーちゃんの矢継ぎ早の質問に淡々と(まさにじぇじゅんらしい淡々さ(メヂカラ!))答えていく中で、図らずもきーちゃんの気づきを促していく、ある種達観した感のあるキャラ(衝動でなく超然と死に臨もうというのだからそらそうだw)。これまたご多分にもれずリアルのじぇじゅんのキャラにかぶって見えてきます。彼女は背筋がいつもピンと伸びていてあごを引いた立ち姿がとても凛としてきれいですよね。そして全身黒一色のシンプルなワンピース。このキャラの語る言葉ひとつひとつに説得力を与えています。揺るがないんですよね。もちろんご本人の内面では葛藤の嵐であったろうことはアフタートークでも語られていましたが、それが表からみえないのがすごくいいのです(しかし、あの悩みすぎたせいでバイト先の店長にあたってしまったとかいうあたりが実に彼女らしいよくできた話だw)。

じぇじゅんの役所は、死にたい死にたいと言いつつも、きーちゃんを挟んで向こう側にいる、自由に行動しようとする4人のマキコたちを見守る姉のような位置でした。中盤、夢敗れて雨の中泣き崩れる4人のマキコたちに黙して傘をかざしてまわる姿は母親のような印象すらあります。そんな彼女の絶望感は、結果がでることの怖さから逃げる自分の消極性への絶望感であり、それが彼女のきーちゃんの中での存在を保証していたのですが、4人が暴走気味に突っ走ったことで5号の存在意義がなくなってしまいました。じぇじゅんの消滅がきーちゃんの成長と表裏一体になっていて、つまりストーリー構成上はじめから消える運命にあったともいえるこのキャラクターへの感情移入度は暗転によって消滅してしまうところでまさに最高潮を迎えます。こういうストーリーのドライブに対して必然性のある退場の仕方はかなりキます。この展開を見ながら私的にはドラえもんの「精霊よびだしうでわ」を思い出していました。この話もまあ来るんですよこれが。関係ないですけどw。
ところで、一回目のときにまちがって蛍光塗料の塗ってある傘をもったままハケてしまったのはミスだったみたいですね、2回目は4人のだれかに手渡ししてました。

じぇじゅんの消滅を受け止めて、天界での裁判にもどるきーちゃん。このイベントがきーちゃんの内面のエポックメーキングであったことは観衆にとってはもう自明ですから、ここから無罪判決へといたる流れはもう一気です。この芝居の成功はじぇじゅんの退場時点で100%確定していました。この重要キャラにみごとなまでの存在感と説得力と愛着を授けたじぇじゅんに拍手を送りたいとおもいます(8888888888)。

しかし最後の復活はいらなかったかもですね。もちろん復活してあえてご都合主義的に明るく終わるENDもありなので価値を損なうようなものではないのですが、消えてしまったけれどきーちゃんにだけは見えている、という演出でも良かったかもしれないなと思いました。恐れず前に進むと決意したきーちゃんだからこそじぇじゅんの存在を感じることができる、という解釈もありですね。

他の出演者たち

まいかが裁判長役でしたが、髪がwww。1回目のアフタートークでしっかりいじられていましたが、2回目の公演で予想以上にえらいことになりましたね。頭の上で巻いていた髪がほどけて前にぶらさがってしまって、それをみたやっすう悪魔がひきつりながら吹きだし、会場は爆笑w。本当ならこういう内輪受け的状況というのは芝居ではあまりよくないのかもしれませんが、今回に限っていえば、昼夜2連続公演で観客はほぼ共通という面もあり、まあ許される範囲でしょうね。

そのまいかの上司がえんま大王のぐっさんw。映像出演でした。みしらんのロケともろかぶりでしたからこういう感じでしか出れません。でも舞台上のたみややっすうとVの掛け合いはかなりスムースに見れました。タイミング難しかったとおもいますが、よくできていたとおもいます。たみは映像をみながら話せたのでまだいいのですが、映像を背後にしてたみにツッコミを入れる立場のやっすうはタイミングを測るのにかなり練習を必要としたと思います。地味なところですが、いぶし銀でした。最後ED後のぐっさんのVでオチというのはいらんかった気がするw。スパっと終わるほうが好きなのです私は。いっそ「はじめのいーっぽ!」のところでパンっと終わっても良かったと思うくらいです。

独立してそれぞれの欲求を満たすべく暴走する4人のマキコたち。まーぼうはキャラとしてはいいのですが、やっぱり棒読みっぽく聞こえるセリフ読みが課題かもしれません。僕達は慣れているのですが、初めて見るとちょっと気になるのではないかとおもいます。しかしメガネまーぼうはいい!←。ちーちゃんはくそまじめキャラで、ちょっと印象と違う配役でした。しかし案外よかったのではないかともおもいます。他の3人とのコントラスト、という意味ではもう少し踏み込んだ堅物っぷりのほうがいいのでしょうね。いっぽうの優華がアイドル志望という、えらくハスキーなアイドルだなwという感じもしますが、やはりこの二人は入れ替えたほうが自然だったかもしれません。まーぼうは1号なので本体であるきーちゃんとの絡みが多かったですが、2号3号4号はほとんどきーちゃんと絡んでいません。これはすこし場面をつくってほしかったですね。そうでないときーちゃんの覚醒への道筋が5号じぇじゅんに過度に偏ってしまうからです。

そして4号さきぴょん。これが意外なところで問題キャラですw。この子の欲求は「スイーツが食べたい」。なんなんですかこのノーテンキさはwww。さきぴょんのキャラにはあっているとおもいますが、他の4人と比べてなんと軽いことか。デビルマンOPの2番の歌詞でいうなら、

  1. デビルチョップはパンチ力
  2. デビルキックは破壊力
  3. デビルアイなら透視力
  4. デビルカッターは岩砕く

の4番目に当たるでしょう。上は「く」しかあってませんが、こっちは「い」しかあってませんw。2号3号と同様、もっと本体きーちゃんとの絡みエピソードがあれば(つまりは尺がもっと必要なのですが)動きに必然性が出たと思います。

次回も期待

以上第2回目の演劇祭でしたが、昼夜2回連続公演ということで、どういう展開になるか不安もあったわけですが、総じて内容はよい感じだったのではないでしょうか。これであれば次回も期待がもてます。最初は演技力にもいろいろと気になるところがあるにせよ、場数ふまねば成長しないのもまた確かで、そういう場があることは大事ではないかとおもいますし、また見てみたいと思えるだけのものにはなっていた思います。

ただ考えねばならない点が2点ほど。ひとつは価格設定。あきらかに高すぎます。収支決算見せろって気分もありますが、ものごとには値段相応というものがあるので、3000円近いというのはかなりきついです。次みるとしても1回に絞らねばならないでしょう。もう一点は入場整理。相変わらずです。今回は通りの外では罵声が飛んでいたようですが、なぜきちんと整理しようとしないのでしょうか。若い整理番号を持っていてもあとから入るしかなかった人は大いに不満でしょうし、そういう気分のまま開演を迎えねばならなかったのはさらに不幸です。しかしこれはいくらいっても書いてもよしもとは改善しようとしません。ニコ生についてもそうですが、そういうサポート、運営面の意識レベルの異常なまでの低さは大いに祟るとおもいます。それはすでに表面に現れてきていますが、おそらく運営がわは見てみぬふりなのでしょう。

さて、つぼみイベントとしては、開花宣言・博覧会(このふたつはかつては別の構成でしたが、いまとなっては区別は全くない)、ガールズウォーカー(お笑いネタ)、演劇祭と柱が増えてきました。あとは歌・ダンスのイベントがほしくなります。チーム別の公演も考えてみてはどうなのでしょうか。これ以上一般に客を広げるという思惑はあまり見えませんから(なぜかしりませんが)、コアファン層に訴えるのならば、もっと特化していくべきでしょうね。すべてを見ることはできませんから。何を見に行くのか、焦点をしぼっていけるほうが見る方としても集中しやすいですね。次の仕掛けを期待したいとおもいます。