gavangavanの日記

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ロケみつ確率論シリーズ第3弾。本当にあのサイコロは偏ってないのか?

ブログ旅で早希ちゃんの振るサイコロ。2連続1のみならず3連続1まで2回も飛び出し(関西縦断で1回、西日本横断で1回。西日本のときは2連続1のあとのフルカード使用で振りなおし権行使の上での1w)、サイコロに細工がしてあるんじゃないのか、何回も振ってのぞみの目がでたときだけカットして使ってるんじゃないのか、などなどの疑惑はかなりまえから巷では囁かれておりました。すくなくとも後者の、何回もふって出目を選り好みしている、というのは早希ちゃんのマジリアクションをみればありえないことは、ロケみつならびに早希ちゃんをウォッチしているみなさんならよくよくおわかりのことかと思います。
そんな演技力があったらあんなカッコで3年も旅なんかしてませぐさっ……ひ、ひさしぶりにきたなー…。どっからとんでくるのかこの槍は…

さ、さてですね、つまり出目の選り好みがないとすれば、あとはサイコロが偏っている(作為的なのか偶然なのかはともかく)可能性しかないわけです。それを調べるには、MBSに乗り込んで親玉Dにむかって
おらぁ、サイコロ初号機と弐号機だしやがれっ、検証するんだゴルア
とでもやらん限り無理(いややっても多分無理)なんで、あとはもう放映済みの番組からデータを漁るしかありません。そうです。wikipediaの記事ロケみつ〜ロケ×ロケ×ロケ〜 - Wikipediaを見る限り、これまで早希ちゃんは関西縦断で20回、四国一周で35回、西日本横断では1/27放映時点までで58回サイコロを振っています。登場したサイコロはどこまで同一かわかりませんが、塗装でみわけるならば3種類は登場しています(関西と四国で使った白サイコロ、西日本で登場した初号機サイコロ弐号機サイコロ仮設伍号機サイコロは1度しか振ってないので(3が出た)ここでは除外しています)。このデータからみて、本当にこれらのサイコロは各出目が1/6ずつの確率で出る純正なサイコロなのかどうかを統計的に検定しよう、というのがこのエントリの目的です。

このロケみつの確率論的考察シリーズには以下の姉妹エントリがありますので、そちらも御覧ください。
ロケみつサイコロの確率論 - gavangavanの日記
伍号機新ルールに基づくといつゴールできるのか確率的に見積もった - gavangavanの日記

客観データ

まずwikipediaのデータから起こしたブログ旅における各出目の度数は以下のとおりです。

サイコロ 合計
関西縦断 7 0 3 4 3 3 20
四国一周 6 8 6 1 11 3 35
西日本初号機 4 2 2 1 1 0 10
西日本弐号機 7 6 7 10 10 8 48
合計 24 16 18 16 25 14 113

本来純正なサイコロというのは6つの出目が均等に1/6の確率ででるはずです。パッと見はかなり偏っている気がしますね。特に関西縦断では2が一度も出ていませんし、四国では4がわずかに1回のみ。サイコロ初号機は1は4回もでているのに、6は一度もありません。

カイ二乗検定

本来の確率である1/6からのずれがどの程度なのかを定量的に見積もる方法として、ピアソンのカイ二乗検定カイ二乗検定 - Wikipediaという道具立てがあります。これはある分布の仮説をたてて、現実に観測されたサンプル列がその仮説分布から生じたのだとすると、一体どの程度の確率で起こりうる事柄がおこったことになるのかを計算することで、滅多にありえないこと(たとえば有意水準5%とか1%など)がおこったときには、そもそもその仮説が間違っていたのだ、として仮説を捨てる、という考え方です。

つまり、今回の問題の場合は次の仮説(帰無仮説という)を立てます。

【仮説】このサイコロは純正で、各出目が確率1/6で均等に出る

この仮説を検証するために、カイ二乗検定では次の\chi^2を計算します。
\chi^2=\sum_{i=1}^N \frac{O_i-E_i}{E_i}
ここでiはサイコロの出目(1-6)、Nは6ですね。O_iは実際の観測、つまりサイコロの各出目の回数。E_iは仮説が正しい時に何回そのサイコロが出ることになるかの期待値になります。つまりM回サイコロを振ったらM/6回ですね。
この\chi^2の値は自由度5(サイコロの出目が6種類ありますが、サイコロを振る総数を固定したら、5つの出目の度数を決めると残りの一つの出目の度数は自動的に決まってしまうので、これを自由度5といいます。5つの度数は自由に決められる、という意味です)のカイ二乗分布に従います(実際にはサイコロを振った回数が少ないときにはカイ二乗分布からずれてきますが(漸近的一致という)近似的には扱えます)。

検定結果

このカイ二乗を計算してそれが起こりうる確率をカイ二乗分布から計算すると、いま観測できた事象が仮説からみてどの程度珍しいことなのか(p値)を見積もることができます。p値が小さいほど珍しいことが起こったことになるわけです。この計算はやや面倒ですが、最近は統計計算パッケージがたくさんありますから比較的簡単に計算できちゃいます。今回はMacOS用のRを用いて計算しました(chisq.test()メソッド)。その結果が以下のとおりです。

サイコロ \chi^2 p値 検定結果
関西縦断 7.6 18.0% 仮説採用
四国一周 10.8 5.6% 5%有意水準でぎりぎりOK
西日本初号機 5.6 34.7% 仮説採用
西日本弐号機 1.8 88.3% 仮説採用
合計 5.7 35.1% 仮説採用

かなり意外な結果です。一度も2が出てない関西縦断ですら十分ありうる事象がおこっただけということになります。サイコロを振った回数が20回なので非常に少ないこともあり偏った結果がでてもしかたがない、ということのようです。さすがに四国一周のときは、35回も振って4がわずか1回(本来なら6回程度でてもよい)という少々めずらしいことがおこっており、そのためか有意水準5%で考えてぎりぎり許容範囲という結果です。それでも決して極端にめずらしいことがおこっているわけでもないことがわかります。

西日本にいたってはもうごくありふれたことが起こっているだけ、としか読めません。サイコロ初号機は10回しか振っていませんからそのうち1が4回でて6が一度もでなくてもそう珍しいことではないのです。これ以上偏った結果が34%もの確率で起きうるといっているのですから。ここまでのサイコロは、
偏ったサイコロだ、とはただちに断言できない
という、ちょっと持って回ったことしか言えないレベルなのですが、サイコロ弐号機にいたっては逆にもうほぼ純正と断言してもいいレベルではないでしょうか。純正サイコロを48回振ったときにごくごく普通に起こることが起こるべくしておこっているといえます。

山口県にはいって以後やたら1,2,3ばかりが集中して出ている印象もあるので、ここでサイコロが操作されたんじゃないか、といぶかる向きもあると思います。私もそう疑いまして、2連続1がでて2回目のフルカード使用でなんとか有馬強制送還を回避した第九拾伍話以降についてのみ切りだしてみました。以下がサイコロ弐号機の出目の度数。

サイコロ 合計
弐号機95話以降 3 2 3 2 1 1 12

これをカイ二乗検定するとこうなります。

サイコロ \chi^2 p値 検定結果
弐号機95話以降 2.0 84.9% 仮説採用

振った回数わずかに12回なので少なすぎてなんともいえませんが、少なくとも異常だとは全くいえないということがわかります。

つまり、ブログ旅通して使用されているサイコロにそれほど作為的な様相は見て取れない、という結論になります。もちろん途中でサイコロを入れ替えつつ、表面上純正に近く見えるように操作している、という可能性は否定できませんが、それはかなり困難だと思います。多少偏らせたところで、どの目がでるのかは振ってみるまでわからないわけです。実際、1が出たあとに早希ちゃんに同じサイコロを振らせてみて、6もでるでしょ?と確認してるシーンもありましたね。

考察

ということで、サイコロについては純正でない(作為的に工作されている)とはいえない(証拠不十分)という結論が統計的にはみちびかれました。今回用いたピアソンのカイ二乗検定はそもそもの分布が正規分布から導かれるもので、サイコロは多項分布なので厳密には一致しませんが、サイコロを振る試行回数が大きくなれば漸近的に一致しますので、そのような観点から近似的な解析ということになっています。

こうみてくると、われわれがいかに演出によってバイアスのかかった見方をしてしまっているかということもいえるのかもしれません。そもそも度数を実際にとってみるまで、少なくとも西日本では1,2,3のほうがずっと出た回数が多いのだと思っていました。ところがところがさにあらず、実際には4,5が非常に多いのです。6もかなりの回数でています。4,5がでたときは普通に1倍で資金がもらえますから、演出的にもさらりと流すことが多く、結果として印象が薄くなっているのかもしれません。対して1は出るとクローズアップされますからものすごい印象になって残っているようです。

ただ。早希ちゃんの引きの強さが否定されたのか、というとそうでもないと思います。これまで48回のサイコロで2連続1(確率1/36)は2回も出ているのです。そのうち1回はサイコロを変えてるとはいえ3回連続1です(確率1/216)。6の直後の1も多いです(関西で1回、四国で1回、西日本で3回の合計5回)。コメ数2万件突破の状況で6(Sea on the 6!)もありました。営業イベントでのサイコロゲームでも1をだしまくり、NHKでのすごろく番組でも期待通り1連発しw関西鉄道すごろくクイズ前編。 - gavangavanの日記桃鉄のイベントではこのイチ子さんぶりが優勝をもたらしました。これも印象といえばそうなのかもしれませんが、なんにせよ、ここぞというところで絶妙の出目、彼女はやはり持っているとしか思えませんね。